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「……分からないけど、少しずつ進むしかないよな……、じゃ、懐中電灯とチャッカマン持って行くか」 「そうね」 俺はベッドの上に先に転がると、続いて水夜も横になった。 俺は自分から目を閉じると、温かくて柔らかい感触が額に落ちてくる。 水夜の額へのキスが当たり前のようになっても、彼女の顔が近づくたびに、体に力が入ってしまう。 そして、懐中電灯を握る俺の手に水夜の手が触れたと思った瞬間、俺たちはまた工場にいた。 「進みましょう。社長室までもう少し。」 水夜は俺を気にしつつも、足を早める。 さっきのように蜘蛛の糸のような物は絡んでは来なかったが、天井のあちこちに蜘蛛の巣が張られている。 社長室に近づくに連れて多くなっている気がした。 「ここよ、ここの奥に社長室が」 事務所に入り、奥に入る。 そんなに広くはない社長室の書類の棚。 日記に書いてあった通り、棚と棚の間に人が1人通れるくらいの隙間があり、中は暗くなっている。 きっと、昔、水夜が開けたままの状態になっていたんだ。
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