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男は口からゴブリと音を出し、床へ吐瀉物を吐き出した。 そして、何度も吐きながら、ジワジワと溶けるように、棚の中へ沈んでいき、やがて何も見えなくなった。 だけど、下には赤黒い液体と得体の知れない塊が落ちている。 棚の向こうへ行くには、ここを跨いで通るしか無い。 「うぇ……きめぇ」 「行きましょう」 水夜は、踏まないように、ヒラリと向こう側へ渡った。 俺もその後に続く。 あの石膏男は、蜘蛛に囚われた奴なのか… それとも、俺たちを襲うつもりなのか… どっちにしても、ここまで来たって事は、俺たちは蜘蛛の餌になってもおかしくないワケだ。 まぁ…タダで喰われてやるつもりはねぇけどな。
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