孤独

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「これ……誰なんだ」 「私が前に来た時は無かった。きっとその後に死んだ人だわ」 「なんで…」 「分からない。とりあえず、糸をこれで燃やして、死体を取り出しましょう」 「えぇっ!?ウソだろ?」 怯んだ俺を残し、水夜は巣に近付き、チャッカマンで、死体を持ち上げている細い糸を下から燃やしていく。 細いと言っても、それでも束になっているので、そう簡単には糸で包まれた落ちてこない。 仕方なく俺も水夜の横へ行き、糸を火で炙った。 壁に張り付いた糸の束が切れた時は、グラっと死体が少しだけ、ずり落ちる。 「金庫の上に上るか…」 俺は自分の腰の高さほどの金庫に上って、天井に張り付いた糸を炙る。 蜘蛛の糸でぐるぐる巻きになった死体が、目の前にあるのが、ゾッとする。 が、水夜も背伸びをして沢山の糸を切っているのを見ると、怖がってばかりいられない。
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