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「あ?」
杉村が自分の手のひらと甲を交互に見た。
「何だよ」
「なんか、体が軽くなってきた…なんか、体があったかいぞ?」
そのうち、杉村の周りが薄く光り出し、ホワホワとタンポポの綿毛のような淡い光と上っていく。
あっと言う間だった。
杉村はすうっとその後消えてしまった。
「嘘だろ」
急に1人になった。
なんだ。
なんで杉村は消えた?
こうしてはいられない。
俺も出口を探さないと。
杉村が言うにはキラッと光る何かがあるはずだ。
その時、水夜に見つけてもらうしかない。
早くしないと、俺も何十年もこの世界に取り残されてしまうかも知れない。
「水夜っ……!」
俺は地平線も何もない灰色の空間を、とりあえず歩き出した。
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