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後ろを見ると、蜘蛛が追いかけてきている。
まるで、ブルドーザーみたいだ。
俺は蜘蛛からなるべく距離を離そうとしたけれど、何せ巨大で速い。
とにかく走らなければ!
俺は全速力で走ったけれど、全然距離は縮まるばかりで差が開かない。
「み、水夜!どこだっ!」
思わず叫んだが、勿論…返事はない。
走るしかない。
そう思った時だった。
俺の上に影が覆いかぶさる。
「う、わぁ!うわぁぁぁぁぁっ!」
蜘蛛が俺を前脚で捕らえた。
もがけない程の力。
必死に抵抗するが、なんの効果もない。
蜘蛛が牙を動かし、かちゃかちゃと鳴らした。
「ひっ…」
あまりの恐怖に声が止まる。
それから勢いよく牙が俺の肩に深く刺さった。
「うあっ!あああぁぁあぁぁ!」
重くて、鈍い、だけど、ガンガンとする痛みが俺の体に走った。
だけど、蜘蛛は更に深く牙を差し込む。
「ううううぅぅう!」
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