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「すぎむっ……!」
俺は杉村を呼んだ。
が、
俺が杉村の視界で最後に見たのは、
何にも見えない真っ暗な世界だった。
ふっ…と俺の意識も再び遠くなっていく……
***
なんだ、ここ…
次に目を開けた時には、真っ暗だけど、四角い窓枠があり、外の光が薄く見える所にいた。
だけど、暗い。
初めはボンヤリとしていた俺だったが、ふと水夜を思い出した。
「み、やっ!」
社長室じゃない、どこだ、ここ!?
何とか見える景色は、水夜の屋敷でもない。
どこか分からないけど、埃臭く、どことなく荒れている感じから、あの工場に間違いない。
もがこうと思ったが、全く体が動かない。
真っ直ぐ狭い箱に入っているようなそんな感覚で、真横に体を伸ばされている。
「っん…!」
その体がぐるんとうつ伏せに返され、それから仰向けになる。
「うぅっ!」
体を真っ直ぐに伸ばされたまま、俺はその場で横に何度も回転をさせられる。
少し見える範囲で何とか周りを見ると、大きな黒い毛の生えた長い脚で、俺を回しているのがチラリと見えた。
俺は蜘蛛に糸で巻かれているのだ。
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