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水夜の館に帰って、時計を見ると、夕方になっていた。
そんなに時間が経っていないと思っていたのに、あの杉村といた何もない空間は時間が経つのが早いのか。
色んな世界によって時間の流れも違うと言う感じか?
水夜に早く見つけて貰わなければ、どうなってたかと思うとゾッとする。
***
俺たちは、やよいさんと食べようと思っていた料理を温め直し、モソモソと食べた。
料理はうまいのに、流石に疲れていて、食が進まない。
どうやら、水夜もそうだ。
お互いに無言で箸を進める。
サラダを少量つまみながら、水夜が先に口を開いた。
「……怖かったでしょ?ごめんね」
「あ、いや……うん、まぁ、でも、大丈夫」
怖くなかった、とは言えない。
俺は、杉村と一緒にいた事と、あいつの目線で過去を視てきた話を水夜に話した。
彼女は箸を止めて俺の話を最後まで聞いたあと、急にガタンと立ち上がる。
俺はその音に驚き、水夜を見上げた。
「ビックリするだろ、何?っ!わっ!」
水夜が俺の頭をギュウッと抱き、俺の顔は彼女の胸の中に埋められる。
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