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水夜は、そのスマホに手のひらで触れた。
それを、伊蔵は黙って見ている。
そのうち、ピロンとスマホから音が鳴ると、水夜は手を離した。
伊蔵はアプリの真ん中をタップし、それから、何度も何度も頷く。
「ありがとうございまーす、やよいさんのストーリー登録終わりましたっ!」
今ので、俺たちが体験したやよいさんとの情報を共有したって事か?
水夜は何にも話してないけど。
「水夜さん、ありがとうございます。なるほどなるほどねっ、緋朝さんと、たて子さんの、あー、やよいさんか。その別のルートに行ったっつー事ですね。しかも、ただ、水夜さんが食べて解決する訳ではなく、割とハッピーエンドな感じ?いいんじゃないっすか?これ、いいお値段いくと思いますよ」
アプリに伊蔵がなにか入力している。
なにをしているのかは分からなかったが、俺と水夜にスマホの画面を再び見せると、そこに2.000.000と出ている。
「お、高額出ましたね!200万で買取ります」
「あら、そんなに」
「はぁっ!?200万んん!?」
俺は大声を出した。
た、確かに危なかったけど、あの件が200万!?
あのやよいさんとの事が200万!?
俺の大声を無視して、伊蔵は水夜に話し出す。
「一応!一応だけど、今の記憶をきちんとお調べしたあと、後日また内訳書お持ちしまっす。水夜さんの話にウソとか、盛った話とかないとか分かってますけどね、一応万屋の決まり事ですんで。マジ、すいません!」
伊蔵は、肩を竦ませて、頭をペコっと下げた。
「分かっているわ。ありがとう。しばらく、万屋の買い物はラク出来そうね」
「200万て!すごいな」
「緋朝のおかげなのよ。あなたにも勿論この報酬受け取って貰わないと」
水夜が俺にニコリと微笑む。
「万屋に緋朝さんも登録できたらいいのになー!なんなら俺の上司に聞いてみますかっ!?」
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