190人が本棚に入れています
本棚に追加
/360ページ
「俺は単なる接客なんでよく知らないっすけど、緑霊香の本社は日本の別世界で、色んなとこに支社と工場があるらしいっすよ。ははっ!緑霊香すげー!」
…ほんっとに何でもありな世界なんだな。
伊蔵の軽さに余計にそう感じる。
明るくていいけど。
水夜と過ごしている日々の、ある程度レトロな感じがウソのようだ。
「んじゃ、水夜さん!緋朝さん!俺、次の仕事まわりに行きますんで。また来週あたりに来まっす!ありがとうございまーす!あ、ナッツとコーヒーご馳走様でしたっ」
伊蔵は立ち上がると、俺たちに小さく礼をして、キッチンの方へ去っていく。
水夜も行くから、俺もあとを追いかけた。
キッチンには、水夜が注文していたであろう品物が床に並べて置いてある。
「んじゃ!あざっす!」
キッチンの突き当たりの壁。
真っ白な壁に、揺らめく暗闇の穴。
その穴の中に伊蔵はスルッと入ると、その穴は消えて無くなった。
「ふぁー、すげぇ。消えた」
最初のコメントを投稿しよう!