考えごと

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「俺は単なる接客なんでよく知らないっすけど、緑霊香の本社は日本の別世界で、色んなとこに支社と工場があるらしいっすよ。ははっ!緑霊香すげー!」 …ほんっとに何でもありな世界なんだな。 伊蔵の軽さに余計にそう感じる。 明るくていいけど。 水夜と過ごしている日々の、ある程度レトロな感じがウソのようだ。 「んじゃ、水夜さん!緋朝さん!俺、次の仕事まわりに行きますんで。また来週あたりに来まっす!ありがとうございまーす!あ、ナッツとコーヒーご馳走様でしたっ」 伊蔵は立ち上がると、俺たちに小さく礼をして、キッチンの方へ去っていく。 水夜も行くから、俺もあとを追いかけた。 キッチンには、水夜が注文していたであろう品物が床に並べて置いてある。 「んじゃ!あざっす!」 キッチンの突き当たりの壁。 真っ白な壁に、揺らめく暗闇の穴。 その穴の中に伊蔵はスルッと入ると、その穴は消えて無くなった。 「ふぁー、すげぇ。消えた」
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