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水夜は俺を見送る時に、いつものように少しだけ微笑んで小さく手を振っていた。
それが日曜の夜。
水夜は、次の土曜日まで自宅でしっかり休みなさいと、俺に念を押した。
俺は水夜に会いたいと思っていたけれど、そんな時に限ってと言うか、そうなる運だったのか、残業になったり、先輩に飲みに誘われたりと、なかなか忙しい1週間で。
「宮本さんっ!のんも宮本さんの事さそいたいんですけどぉ」
矢田紀子…上目遣いで俺を見上げ、小首を傾げた。
矢田さんをよく思ってる男性社員は沢山いる。
それくらい女の子らしくて可愛らしい。
でも、前にも矢田さんに誘われて断ったけど、今回は行かなきゃだめかな。
しかし、やっぱり水夜の事が思い出される。
「あぁ、また今度ね。みんなでどっか飲みに行こうよ」
「えぇー…宮本さんと2人っきりがいいな!」
俺の腕に、矢田さんは自分の腕を絡ませる。
フワリと彼女から甘い香り。
「宮本さんと2人でご飯食べたいな」
そうだよな…水夜はどうせ駄目なんだ。
矢田さんのような、好条件の女の子、なかなか居ない。
何より俺に関心がありそうじゃないか。
「ねぇ、どうですかぁ?」
それに生きてるし。
「美味しいイタリアンのお店見つけたんですよ?お値段も手頃なんです」
そうだ、この子なら。
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