考えごと

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急いで棚の奥の蜘蛛の部屋に入る。 大蜘蛛が、暴れている音が、こっちまで聞こえてくる。 水夜が心配だ。 でも、俺は金庫を開けないと! 慌ててしまい、やけに手が震える。 落ち着け。 落ち着け、俺! 焦りでブルブル震える手で、0062とダイヤルを回す。 カチリと音がした。 あとは鍵を… 「あっ!」 手を滑らせ、鍵がコンクリートの床に落ちる。 チャリーンと大きな音を響かせ、転がった。 大蜘蛛はかなり怒っているのか、金切り声のような高い音を出して、大暴れしている。 並べてある机がガタンガタンとひっくり返る音が事務所から聞こえている。 早くしないと、早く! 鍵を拾い上げ、回す。 再びカチンといい感触が指先に伝わり、キイと扉が少し開く。 金庫があいた! 中を急いで見ると、社長が入れた、蜘蛛のケースが一つ入っていた。 ケースの中には、死んだ小さな蜘蛛。 蜘蛛には青い毛が生えていて、それが懐中電灯の光で美しく輝いていた。 俺はそれを持って、水夜の元へ走る。
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