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「水夜!いた!蜘蛛!」
蜘蛛のケースを持ったまま走ったが、そのあとどうすればいいのか分からない。
でも、とにかく蜘蛛の背にしがみついている水夜を助けないと。
そう思ったのに、俺は転がった椅子に足を引っ掛けてしまい、思いっきり転んでしまった。
蜘蛛のケースが吹っ飛び、蓋が開く。
大蜘蛛は、俺の方に凄い速さでやって来た。
8本の足が物を押し除けながら向かってくる。
「っ!!」
「緋朝!逃げて!」
水夜は大蜘蛛から飛び降りた。
彼女は、ズダンと床に落ち、それでも俺の方に駆け寄ろうとする。
俺も彼女の方に行こうとしたが、大蜘蛛がそれをさせない。
俺は逆の方向に、逃げた。
「緋朝、持ってきた蜘蛛!それを大蜘蛛に見せて!きっと、何かある!」
「ない!落としたっ!」
逃げながらそう叫ぶのが精一杯だった。
て言うか、俺、ポンコツじゃん。
なんで、落としてんだよ!
「どこになのっ!?」
俺は槍のように降ってくる蜘蛛の足をなんとか避けながら、落としたケースの所まで戻った。
しかし、蓋があいて、中の死骸がどこかに転がってしまったようだ。
でも、近くにあるハズだ。
倒された机や椅子の隙間を探す。
その間にも蜘蛛は俺や、水夜に対して高い声を出し威嚇しながら、暴れまわっていた。
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