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やられると思ったが、
しん…と音が急に無くなる。
俺はソッと目を開ける。
目を開けても暗くて、懐中電灯で辺りを照らす。
……蜘蛛がいない…
水夜を離すと、俺は彼女の顔を覗く。
「水夜、だ、いじょうぶ?」
「ええ……蜘蛛、急に白い光に包まれて、消えたわ」
蜘蛛が消えた?
とりあえず助かったのか…
でも、どうして…
「あぁ、緋朝。あなたが無事で良かった。怪我はない?」
「ああ、大丈夫。ホントに水夜は大丈夫か?
蜘蛛から飛び降りた時、怪我しなかった?」
彼女は俺にワンピースを少しめくり、俺に膝を見せた。
「すり傷が少し……でも、大丈夫よ」
「ダメじゃないか!早く手当てしないと!また体調崩すぞ!まず帰ろう」
「私の事はいいの。でも、帰りましょう」
彼女は、俺の後頭部に手を添えて自分の頭の高さに俺を寄せると、俺の額に唇を優しくつけた。
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