叶えられなかった想い

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目を開ける。 ……水夜の館に戻ってきたんだ。 ベッドの隣がギシリと傾き、水夜が起き上がって俺を見下ろした。 「緋朝、起き上がれる?お茶を持ってきましょうか?」 俺も起き上がると首を左右に振る。 「それより、膝の傷の手当てを。また具合悪くなると大変だろ?お茶も俺が用意してやるから、水夜はゆっくりするんだ」 水夜の傷は、俺なら絆創膏貼っとけばいいような傷だけど、水夜にとっては大きな傷だ。 また熱を出し、何日か倒れる事になるかも知れない。 すぐに手当てし、夜を迎えた時間だったから、あまり上手ではないけど、簡単な料理を作り、水夜と食べた。 メニューは、目玉焼きと厚めのベーコンを焼き、ご飯と、ざく切りのキャベツの味噌汁だったのだけど、ご飯はベチョッと柔らかく炊けてしまったし、目玉焼きは少し焦げて、黄身が潰れてしまった。 だけど、水夜は「美味しい」と食べてくれて、俺は本当にその優しさが嬉しかった。 食べ終わった後は、やよいさんの時と休んだ部屋で、水夜は眠った。 あの緑の粉、緑霊粉を窓の外に撒いてやり、霊が集まるように手伝いして、俺は二階で休んだ。 彼女の体調が戻れば酷くならなければいい。 ゆっくり休んで、それを待つだけだ。 しかし、俺も疲れていたのか、ベッドに転がると、まるで泥のように眠ってしまった。 蜘蛛の事もきになりつつ、水夜の心配もしつつつ、結局自分もコテンと眠ってしまったんだ。
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