190人が本棚に入れています
本棚に追加
7/3(水)
今日は昼間に「お化け屋敷」へ行った。
昨日よりも部屋の中がよく見える。
1階には、やはり昨日と同じように特に何もなく、2階へ行ってみた。
最初に布団が敷かれていた部屋に入る。
が、布団が見当たらない。
この6畳の部屋には、布団しか置いてなかったはずで隠せるような家具など一切置かれていない。
一応、押入れの襖を開けてみるが布団はない。
他に荷物も置いていない。
押入れの、下の段の奥も覗いてみる。
「!」
奥の影で、女が膝を抱えて座っていた。
そして、こちらを見つめているのだ。
髪は長いのだけれど、かなり薄くなっていて、
あちこち頭皮が見えている。
あと、1番気になるのは、
彼女の目の向きがおかしい。
小さな、両の目が縦になっている……
目頭と目尻が、上か下かまでは把握できなかったが。
「あなた何をしているの?」
声をかけてみた。
すると、彼女は口をカパリと開ける。
その後に「あああああ」とも「おおおおお」とも聞こえる男性のような、低い声を出し始めた。
威嚇。
そのように思ったので、押入れから半分入れていた頭を私は外に出した。
その途端、
急に襖がタアン!と音がする程、勢いよく閉まったのだ。
危うく、身を引かなければ挟まれてしまうところだった……
私はもう一度、そっと開けて見たけれど、
彼女が座っていた場所には、誰も居なかった。
私は他の部屋も行ってみることにした。
次の部屋には、小さな鏡台。
鏡には何かをぶつけて割れたような蜘蛛の巣状のヒビが入っている。
鏡台の引き出しを開けてみたが、柘植の櫛が1つ。
髪の毛が、ごっそりと絡んでいる。
さっきのあの女性の物だと思う。
そして、もうひとつ。
赤い花がついた可愛らしいピン止めが入っている。
そのピンにも髪の毛がまとわりついていた。
その部屋には他に古い箪笥。
中を開けるとハンガーに、白い大きな襟がついた紺色の清楚なフレアワンピースが1着だけ入っている。
他には何も入っていない。
そのワンピースに触れようと手を伸ばした。
すると、箪笥が、先程の押入れの襖同様に勢いよく閉まったのだ。
手を引っ込めた時にはすでに遅く、私は手首に扉の角で当たった擦り傷と、中指の先を少し挟んでしまった。
最初のコメントを投稿しよう!