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「え…?」
俺は何の事なのか、全然分からない。
「私は……緋朝がここに来る事が、当たり前に思っていた。あなたは、私とは違う世界の人と言うのを忘れていたのよ。
緋朝には緋朝の生活があるのに。それが、悲しくて、でも、仕方ない事だから、苛立ちに変わったの。ごめんなさい。緋朝に、八つ当たりだわ」
「そんな……水夜…」
どう言ったらいいのか、こんな時に上手い言葉が見つからない。
「水夜、俺、水夜の事が」
「ごめんなさい、忘れて。世界が違っても私たちはお友達だものね、これからは、連絡が取れるように、私もスマホを持とうかしら?伊蔵くんに頼んでみるわ」
俺の小さな声で言った言葉が、水夜の言葉に被った。
「…ごめんなさい、今、なんか言った?」
「……いや、俺も同じ事思ったよ。違う世界なんか関係ない。いい……友達として、これからも……」
あー……もう、完全に機会逃したし、しかも、友達とか言われたし。
もう、あー….俺の方が俺に腹立つわ。
水夜が、いつものように微笑む。
「昼食の用意、手伝って貰える?一緒にした方が早いものね」
「うん」
俺は、水夜が言うように、昼メシの用意を手伝った。
でも、元気が出ないのは、友達と言われたから。
また、友達って言われた……でも、まぁ、だよな。
まだ、そんなに会って、そんな時間経ってないものな。
しかも、水夜からしたら、俺なんて、大した男じゃないのかも知れない。
いつも、小さな男の子みたいな…って言われるし。
マジで、元気なくなるわ。
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