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昼食の後、杉村の財布を埋めに、2人で館の裏にまわった。
財布は、水夜が1週間かけて見つけた缶の中に入れ、密封できるビニールバッグにそれを更に入れた。
埋める場所は、木の下辺りならどこでも良かった。
他人の事を思いやれるほど、心の余裕がなかった。
俺が落ち込んでいたからだ。
「ここにしましょうか」と水夜が、言った時も軽く「あぁ、そうしよう」と言って、ボーッとしながら埋めるのを手伝った。
まあ、ある程度缶が埋まるくらいまでの深さまで掘り、そこに埋めた。
水夜と一緒に手を合わせて、成仏しろよと心の中で唱える。
ホントに……あの光って消えた時に、キチンと成仏してたら嬉しいなとは思う。
俺はしっかりと手を合わせた。
でも、すぐに顔をあげて、「さあ、戻ろうか」と館に戻った。
なんか、人どころじゃなくて。
自分に余裕が無くて。
そこが子供なんだよな、俺。
館に戻ると、夜ご飯は要らないといって、自分の家に戻ることにした。
いや、勿論水夜に初めに言われたからじゃない。
水夜に友達と言われて、もう一歩もそのラインから近づけないかと思うと、もう悲しくてさ、疲れちゃってさ、この日はダメだったんだ。
水夜も、夜ご飯食べて行って欲しいって優しく頼まれたよ?でも、俺は食欲がなかったんだよ。
マジで。
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