叶えられなかった想い

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水夜と食事。 勿論、会いたいから、食事したい。 でも…… " あの、緋朝?" 「あぁ、うん。えっと」 " 私、緋朝と、お話しながら食事するのが楽しいから、良かったら" 「うん、じゃあ、あー…1時間後に」 俺、弱い。 やっぱり会いたいから。 水夜も、会いたいとは思ってくれている…… あくまで、友達だけど。 1時間後、俺は水夜の館に行った。 扉を開けて、微笑む水夜は、やっぱり俺の心をぎゅっと痛くさせた。 あの蜘蛛は、社長(しゅじん)を待っていたのだろうか? もし、待つという心があったというのなら、社長(しゅじん)と会えなかったし、あの暗い金庫から出られず、生きているうちは叶わぬ想いだったけれど、今は自由を手に入れたのだろうか。 そして、俺も、生きているうちは叶わぬ想いなんだろうか? だけど、とりあえず今は、のんびりと水夜と食事出来るのが、幸せすぎて、ずっとこの時間が続けばいいなと思うのだった。
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