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自宅とは違う、埃臭いような、カビ臭いような臭いで目を覚ました。
寝ぼけた目をうっすら開けると、俺は寝ていたハズなのに、立っている。
ハッと完全に目が覚めた。
俺は知らない家の玄関に立っている。
" な… "
なんだ、と声を出したかったのに出ない。
そして、勝手にゆっくりと足が動き出した。
足の感じからして靴を履いている。
靴を脱がずに家の中に入った様だけど……
ギシギシと鳴る廊下を歩き、そして、部屋の中に入る。
視界が右、左と動き、リビングとキッチンが見える。
だけど……
感覚はあるのに、勝手に体が動いている。
なんだ、これ。
俺はどこに来たんだ。
勝手に歩いていく足はリビング……というか、茶の間と言うべきか、広めの和室に入っていく。奥にはキッチン。ひと昔前の流しや、それから冷蔵庫。
人が住んでいる気配がなく、埃や、蜘蛛の巣が酷い。
気味が悪い。
廃屋に肝試しに来たような気分だ。
肝試し……?
もしかして、これ、あの、水夜の日記の家じゃないだろうな?
トイレやバスルームを見る。
どちらも黒い水が溜まり、顔をしかめたいけど、勝手に体はその水を覗き込んでいた。
そして、しばらくすると、2階へ。
待て。
もし、水夜の日記の" お化け屋敷 " なら2階に、変なヤツがいたよな。
嫌だ!嫌だ!
と、思っても体は2階へ上がって行く。
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