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「また、緋朝が次来てくれるまでに、窓にガラスを入れておくわ。それから、私も今日はこの部屋を使わずに、別の部屋で休むことにする」
「そうだね、何が入ってきたのかわからないもんな。今日は、気をつけて休みなよ?」
「緋朝は、もう帰る?じゃあ、あの、えっと、…そうね、今度来る時には、なにか美味しい物でも作っておくわ」
「いや、もう少しいるよ。何か分からない物が居るかも知れないのに」
水夜は一瞬顔をパッと明るくさせたけれど、すぐに顔を無表情にした。
「いいのよ、私なら大丈夫。霊なら、食べる事が出来るもの、それに…」
彼女は、部屋全体をゆっくりと見渡した。
「確実な正体は分からなくても、なにか、獣の匂いがする」
「獣?」
「ええ、入ってきたのは人間じゃないわ。でも、私なら何とかする事が出来る」
人間じゃない。
そう聞いただけで、不安になった。
もうすでに人間でなくなった、やよいさんや、大蜘蛛。それから杉村のような石膏男と戦った。
あれが、1人っきりの水夜に、襲いかかるかも知れない。
俺が心配の目を向けるからか、水夜はニコリと笑って、俺の背中を優しく押した。
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