190人が本棚に入れています
本棚に追加
階段を登りきると、左に部屋が1つ。右に部屋が2つ。
俺の体は左に曲がり、その部屋に入る。
何もない和室。
家具もない。
うぅ、やはり、書いてあったあの部屋なのかも知れない。
俺の足は押入れに向かう。
やめてくれ。
押入れの前に来ると勝手に俺の右手が襖を開けた。
上の段の中を左右覗き込み、腰を曲げて下の段に顔を入れる。
奥に
いた。
" っーーーーーっ!!"
声にならない声で、俺は叫んでいた。
足を抱えて座っているそいつは、日記に書いてあった通り、両方の目が縦方向についていて、こっちを見つめている。
そして、不自然に塗られた口紅の口がニタリと笑った。
この後、口が開いたら、襖が勢いよく閉まるはずだ。
すばやく後ろに体を引かないと!
と思うけど、体は言うことを聞かない。
動け!
動け!
でも、俺の体は動かない。
だけど、何故か襖も閉まらない。
その間、女はこっちを見つめながら、更にニタァと口を大きく開けて笑った。唇についていたツバが糸を引いているのまで見えた。
そして、女がゆっくりと、そのまま四つん這いになり、こっちへ来ようと動き出す。
ヤバい、マジでヤバい!
来るな!来るな!!!
俺は動かない体を何とか動かそうと、力を入れる。
その間にも女はペタ、ペタとゆっくりと亀のように近付いてきた。
「あああぁあぁああぁぁあ……」
変な声を出しながら、俺の顔を女が覗き込む。
目が縦に瞬きし、不揃いな歯が見えた。
もう終わりだ。
こいつに殺される…!
最初のコメントを投稿しよう!