街に住む野獣

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「緋朝には、あまり話したくはなかったし、私も出来るだけ深入りするのはやめようと思ったんだけど」 再びソファに腰掛けた俺たちだったが、水夜は、やっぱり話したくなさそうに、ボソボソと下を向いて小さな声で話し出した。 だけど、なんとなくだけど、想像がついた。 日記の事じゃないかと。 「日記?」 俺が言ってみると、彼女は俺を見上げたけれど、再び顔を下に向け、コクンと頷いた。 「あー…やっぱり」 「もし、日記の中の次の霊だったとすると、私は酷い怪我を負ったの。しばらく動けないくらいの。だから、緋朝も怪我をするかも知れない。そう思うと、ちょっと勇気が無くなって…」 「……そうだよな…今までだってだいぶ危険だったし、勇気が無くなるのも当然だよ。俺のが多分ビビってる。 ……でも、日記の事は、あの1冊が終わるまではきっと何かあるんだよ」
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