化け物日記帳

街に住む野獣

次の日から1か月ほど、何もない日常が日記に書かれていた。
作ったお菓子が美味しかったとか、大雨が数日続いただとか、新しい服を買っただとか、今までとは違う、普通の日記。
ページをめくる度に、女の子らしい日々に安堵する。

が。
急にその日はやって来た。
「普通の日記」とは違う「いつもの日記」に、ついに来た、とドキンとする。

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8月20日（火）
ある建物に近づくと、大きな獣の爪で、引っかかれたような怪我をするという話を伊蔵くんから聞いた。それについて調べようと思う。

久しぶりの仕事で、少々緊張する。
明日、この場所を移動し、その近所へ引っ越す予定だ。

8月21日（水）
暑い。昨晩雨が降ったのもあって、今朝は湿気がすごかった。
無事、引越しも終わり、少しだけ暑さがマシになった夜に、その辺りを散歩してみた。
下町らしい商店街。きっと、昼間は活気のある通りなんだろうと思う。
少し離れた所に小学校。
それから、駅。
大きな獣が出るとは思えないような雰囲気だ。