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「……次の日も、この日と同じように、長屋の空き地を見て回った。ただ、一つ違う事をしたのは、玄関の扉を一つ一つ開けようとしただけ。ほぼ、そこから1ヶ月、日記も書けなかった」
水夜は、9月25日を指差す。
***
9月25日(水)
まだ起き上がって、家事をするのは少々疲れるし、食欲も以前ほどない。
伊蔵くんのお手伝いがありがたかった。
何でも屋さんと言えど、身の回りの世話を頼んだ事が無かったから、今回それを体験して良かった。
また何かあった時に、お世話になるという選択肢が増えた。
「……」
伊蔵とずっと一緒にいたのかよ?
思わず、日記を読むのをやめて、水夜を見る。
「なぁに?」
「いや、何にも」
続きを読もうとすると、彼女は「あっ…」と言いながら、俺の膝の上にある日記を両手でいきなり押さえつけた。
「な、なに!?」
「緋朝、あなた、私と伊蔵くんを、なにか変な事を想像したでしょう」
「えっ…いや…」
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