街に住む野獣

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「白いライオンがいる…」 「は?ライ……」 水夜の目線は、違和感を感じる空気を見ていた。 それがまさか、ライオン?と聞き返す前に、その空気が、大きな地震が来たかのようにビリビリグラグラと揺れた。 「うわっ!」 「吠えたわっ」 "空気"は、俺たちが立っていられないほど揺れた。 目が開けられない。 すごい突風が、俺たちを立っていられなり、その場にしゃがみ込んだ。 しかし、その風と揺れが、急に止み、ゆっくり目をあけると、目の前から、あの少年が消えていた。 ……違和感のある空気もない。 「なんだ…ったんだ?」 俺たちはゆっくり立ち上がる。 「あのライオン……日記書いたあの白い獣だわ。だけど、あの少年は初めて見た」 「水夜が見た、その場所に行った方がいいのか?」 水夜は、小さく、うーんと唸ると「分からないけど、行ってみましょうか」と言った。
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