街に住む野獣

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早速、伊蔵に地図の事を頼んだ。 明日の朝、持ってきてくれることになった。 それまで、俺たちも行動することはやめ、休む事にした。 でも、 ここで休む、と言っても、もしかすると、白いライオンが襲ってくるかも知れない。 かと言って、ずっと起き続ける事もできない。 「緋朝、本当に危険になりそうなら、またあのライオンを食べるから安心して?深追いは今はしないし、出来ない。あの少年の事も、何も分からないのだもの」 「うん…でも、1度水夜が大変な目にあってるんだ。お前がまた怪我したら…」 「優しいのね。ありがとう。でも、緋朝はまた明日お仕事でしょう?早く寝ないと。それとも、今日は、自分の家に帰る?」 俺はすぐに首を左右に振った。 「逆に心配で寝れる訳ないじゃん」 水夜は、俺の顔を見て、クスクスと笑った。 彼女の笑顔は、最高に綺麗だ。 滅多に表情を崩さないから、余計に、その笑顔を守りたいと思ってしまう。
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