街に住む野獣

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でも、 俺はさっき白いライオンを視る事ができなかった。 守りたいけど、視る事が出来ないのに、水夜を守る事ができるのか、ちょっと心配だ。 不安になりながらも、俺たちは再び眠る事にした。 しかし、俺はすぐに眠る事ができずにいて… 当たり前だ。 あんな事があった後だから。 目を開けると、あの血だらけの少年が目の前にいたら…とか、余計な事を考えてしまい、ゾッとする。 もそもそと、何度も寝返りを何度打ってしまい、水夜の方に体を向けた時、そっと薄目を開けた。 彼女が、俺をガン見している。 「うぁっ!」 驚いて、思わず声をあげる。 「眠れないの?」 「え、あ、う、うん」 「……怖いわよね」 俺がここで怖いなんていうと、情けないと思われそう。でも、結局、バレる気もする。 ちょっと、返答が遅くなった。 目も逸らした。 「怖くて当たり前よね。頭が取れかけの子供と、目に見えない何かが襲ってくるんだもの」 「うん…そうだよな」 まるで自分じゃないみたいな言い方をしてみる。 「でも、 あの子は多分、私たちを襲ってこない。首を見た?刃物で切られてる。あの子は、殺されたのよ」
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