街に住む野獣

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「きっと、緋朝が見た夢の中の場所に今も埋められてるんじゃないかしら…絶対とは言えないけど…そんな気がする」 「殺された…」 彼女は少しだけ眉を寄せ、軽く手を握ってくる。 「多分。あの子はお母さんを探していて、ここに来た。私たちを襲うつもりはないと思うの。だから、ゆっくり眠って。明日のお仕事で疲れてしまうわ」 水夜は、俺からそっと手を離すと、手のひらで俺の目元を覆い、「おやすみなさい」と呟いた。 いつものおまじないだ。 俺は、彼女の微笑みを見ながら、眠りに落ちていく。 そして、朝まで起きる事はなかった。
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