小さな約束、大きな約束

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会社の仕事を終えて、俺は急いで水夜の屋敷に帰る。 彼女には仕事の合間、何度もチャットを送った。 あの白いライオンが襲ってこなかったか心配で。 ……勿論、あの少年が来たかどうかも気になった。 彼女からは、俺が送った全てのチャットの返信に、大丈夫だから心配しないで、と書いてあり、その度に、安心の大きなため息が出た。 午前中には、頼んでおいた地図が伊蔵から届いたと言うことも書いてあった。 館のドアを開けると、水夜が、こっちへ歩いて来ている最中で、俺を見ると小走りでやって来る。 「おかえりなさい。お仕事疲れたでしょ?」 可愛い笑顔で、俺の鞄を持ってくれる。 こういう所、昔の女性を感じる。 勿論、良い意味で。 「疲れたけど、それより、何にもなかった?大丈夫?」 「大丈夫よ。夕食もゆっくり作れるくらい。今日はカレーよ」 「良かった。カレーかぁ。腹減ったぁ」 俺は、水夜と一緒に夕食を食べ、昨日と同じように、部屋についている風呂に交代で入り、それから、伊蔵が持ってきた地図をベッドに広げた。
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