小さな約束、大きな約束

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「えっと……例の長屋は、この辺だったの…待って」 水夜は、地図を覗き込み、人差し指を、地図の真ん中から右下にゆっくり動かす。 「ええっと、あ、ここよ。この交差点を、渡って……信号を渡る前に、左に曲がる…そうそう。ここが、わたしが見つけた長屋よ」 水夜が指さした場所には、長方形のスペースを更に小さく3つに分けた線が引かれてあり、そこに三軒の住居に分けられている事が分かる。 その場所から、左下。 大きな池がある。池の横の、地図から切れる辺りに 山があるのが分かった。 地図の範囲に、他に見える山や、森はない。 ……もしかして、ここなのか? 「この場所、探しに行くか…?」 「……そうね、夢で見た時に、何か目印になるようなモノは見ていない?」 俺は、夢で見た少年のいた周りを必死に思い出そうとするけど、周りは木が生い茂っていただけだ。 「いや、思い出せない……ごめん」 「いいえ、いいの。だって、山だもの、木だけよね、わからなくて当然よ」
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