小さな約束、大きな約束

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ミャオと鳴きながら、擦り寄るシャオファは、まだ残っているパンをおねだりしていて、少年の視界から見る俺としても、とても可愛らしい。 「今日もお母さんは、お仕事で遅くなるんだ。2人で待っていようね。でも、お母さんはすごく優しいんだ。シャオファの首輪を作ってくれたよ。名札も入れてくれた。ほら、小さい花と書いてシャオファと読むんだって。お母さんが教えてくれた。首輪だって作ってくれたんだよ」 少年はポケットから、手作りの首輪を出した。 猫の首のサイズに合うくらいに、何層かにして厚みを出した布をミシン掛けしてある。それから、縁が金属製の名札入れがついていた。 名札の紙には、マジックで「小花」と。 それを少年は、シャオファの首につけてやる。 この首輪……見た。 この首輪、杉村の財布に入っていた、あのプレートだ! 「お母さんから聞く、台湾の話は面白いの。悪い物から守ってくれる剣を加えた剣獅子っていう、大きなライオンもいるんだって。すごいね!僕が大きくなったら、お金をたっくさん稼ぐから、お母さんとシャオファも一緒に台湾に行こうね!」 シャオファは、少年の目を見ながら、ミャーンと鳴いた。 「シャオファ、君は僕の剣獅子だ!シャオファはライオンみたいに大きくなって、僕とお母さんを守ってくれるんだ!だから、いっぱい食べて大きくなってね」 少年は、パンを再び小さくちぎると、シャオファの前に置いた。
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