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「水夜がおばあちゃんじゃなかったらなぁ」
俺がボソッと小さく呟くと、聴こえていなかったのか、口角をちょっとだけ持ち上げて「なぁに?」と言った。
こんなに、こんなにも可愛いのに……
「水夜がおばあちゃんじゃなかったら良かったのにって言ったんだよ」
俺は細長いグラスを手に取ると、アイスコーヒーをストローでゴクゴクと吸い上げる。
「今日の緋朝は失礼な事ばかりね。
あなたより年上だけど、身体の事を言うとあなたより若いんだから」
彼女は大きな目を睨むように細めて俺を見つめる。
俺はストローを咥えたまま、アイスコーヒーを飲むのをやめた。
静かに怒る水夜はかなり怖い。
だけど、水夜はそれ以上何も言わずソファの向かい側に静かに座る。
「まぁ、でも。」
彼女は自分の横にトレーを置くと、小さく鼻で笑った。
「な、なんだよ」
「……今日、緋朝が来ると思っていたから、アイスコーヒーも、チョコブラウニーも用意したのよ?」
薄く笑った水夜。
俺はグラスをテーブルに置いた。
でも、当然だよな。
あの日記を読んで、あんな体験する事が分かっていたら、何か聞きに来ると思うに決まってるだろう。
「じゃあ、説明してくれよ」
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