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池の淵を落ちないように歩く。
前に見た地図を思い出す限り、池はいつか途切れて道にでるはず。
ただ、ここは山も池も人が遊べたり、釣りが出来たりするような、ちゃんとした通り道がない。
好奇心いっぱいの小学生でも入れないだろう。
危なすぎる。
池の淵は、細く、落ちたらまた深い暗い水に飲まれる。
気をつけて歩かないと。爪先立って、そっと歩く。
何度もずり落ちそうになりながら、何とか前へ進んだ。
よし、このまま頑張れ…
そう思っているのに、大きな木の根が張り出して、俺の通る淵を塞いだ。
「ちっ!」
慎重に木の根を跨いで、向こうに行かないと。
大きな根は硬く、手をかけても曲がりもしない。
うまく、跨げそうだ。
根に足をかけて、向こう側に行こうとした時、俺は思い出した。
根……この形、夢で見なかったか?
この根の形を気持ち悪いと思った記憶がある。
……と、言うことは。
もしかして、この上に、宏則がいる?
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