小さな約束、大きな約束

26/36
前へ
/360ページ
次へ
ライオンになって、宏則を守ろうとするシャオファに、もう安らかに眠っていいんだよって言ってあげたい。 勿論、宏則も、なんとかしてあげないと。 「宏則くんの魂と、シャオファの魂を天に上げてあげましょう。緋朝が言う通り、その首輪が必要なのよ、きっと。」 「うん、そうだな、そうだと思う。」 「どうやってシャオファを呼び出そうかしら…宏則くんが、あの山に居ると分かったら出てきてくれるかしら…首輪の他に緑霊香も持っていく…?」 俺は、水夜が色々と考えてくれているというのに、宏則が殺され、そして酷く傷付けられ、埋められる所を思い出していた。 なんて、可哀想な死に方だ… 身勝手な犯人の男も、シャオファに罰せられ、酷い死に方をしたけれど、社会的制裁を受けて、もっと精神的にも、酷い目にあえば、良かったんだ。 俺の様子に気がついた水夜は、長いテーブルをわざわざ回って、俺の横まで来てくれた。 そして、横に座り、頭を撫でてくれる。 「大丈夫?」 「あぁ、大丈夫だ。俺はいいんだ、ただ、宏則が…」 「宏則くん、殺されるなんて、可哀想な亡くなり方をしたものね。つらかったでしょうね。あなたは優しいわ、緋朝…その優しさがあなたの心を傷つけているのね」 「犯人は宏則の母親が好きだった。彼女を手に入れたいからって、宏則の首を締めて殺した。埋める時も、遺体に酷いことをしたんだ、許せない」
/360ページ

最初のコメントを投稿しよう!

190人が本棚に入れています
本棚に追加