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チョコを皿が1枚とる。
薄くて、小さな正方形のそれを、口に半分入れて、噛むと、パキといい感触がした。
「ブランデーはどれくらい入れる?」
「水夜の加減にまかせるよ。美味しい量を知ってるだろ?」
さぁ?と言うふうに、小首を傾げ、彼女は赤い唇に弧を描きながら、紅茶の中に茶色の液体をポタポタと入れる。
ティースプーンで何回かかき混ぜると、俺の前にティーカップを置く。
「少し多い方が、今の緋朝には良いかしら?」
水夜は、自分の紅茶にも、ブランデーを少し入れた。
「チョコ、美味しい?」
「ん?あぁ、苦いけど。美味しい。それに噛む感触がいい」
水夜もチョコを1枚取って、口に入れた。
「えぇ、ほんと、この薄さの感触がいいわよね、私も好き。紅茶もどうぞ?」
紅茶は、ほんのりとブランデーの味がした。
口の中と鼻の奥に、酒のいい香りが広がる。
確かに、このチョコと、ブランデー入りの紅茶は、とても合う気がした。
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