小さな約束、大きな約束

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「ねぇ、緋朝、今回あなたはとても悲しい物を見てしまったわよね、宏則くんの目線から、殺されるところと、犯人の目線から宏則くんに酷い事をして埋めるところも、勿論、シャオファも……」 「あぁ、うん、そうだな」 「その人たち皆、とても可哀想な亡くなりかたをした。それであなたの気持ちが落ち込んでいるのは、全部とは言えないけれど、少しは分かるわ。私もずっと霊を探す仕事をしているんですもの。私は食べるだけだったけれど、酷い亡くなりかたをしてる人を沢山見て来たから」 下を向いていた俺は、顔を上げた。 「あなたと出会ってから、亡くなった人たちの真実がわかる様になって、私も助けたいと思ったわ。 あなたも…宏則くんたちを、助けてあげたいと思わない?」 「勿論だよ、それは、勿論そう思ってる!」 俺は机に手を乗せると、乗り出す勢いで答えた。 すると、水夜はゆっくり頷く。 「そうね、だから、全力で。 私達できること、全部やってあげるの。 全力よ」 水夜の目は、いつもの静かな瞳の中に、小さな炎を見つけたような気がした。 彼女もまた怒っている…?犯人に対して。 いや、言った通り、全力で解決しようとしている気合いなのかも。 …そうだ、いつまでもしょげている場合じゃない。 宏則らを、なんとかしてやるんだ。 俺は水夜を見つめ、大きく頷いた。
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