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「シャ、シャオファ!俺たちは、お前と宏則を会わせる為に、ここに来たんだ。味方だ!ここにいる、みんな、味方だ」
水夜を守らないと。
宏則も、美和子さんも助けたい。
シャオファだって、助けたい。
どうすれば、話を聞いてもらえる?
考えろ。
シャオファは背中を反り、頭を低くし、唸っている。今にもこっちへ飛びかかってきそうな姿勢だ。
長い尻尾が、ゆっくりとユラユラと揺れ、その向こうで、宏則と美和子さんが見えた。
宏則はこちらをボンヤリと見ていた。
「宏則、くん!シャオファ、覚えてるよな?シャオファ、ちゃんと言う事を聞いて、俺たちから、君を守ろうとしてるんだよ。でも、俺たちは、君たちを助けにきたっ。ほら、これ、シャオファの首輪のプレートだ。もう大丈夫だって言ってあげて?」
俺は宏則に見えるように、プレートを高く上げた。
美和子さんと共に、宏則の目がプレートを追う。
…助けに来たなんて言ってるけど、実際宏則に助けて貰わないと、どうにもならないけど。
「……シャオファ?」
宏則が呟いた。
「そう、君の子猫、シャオファだよ!」
思わず俺の声が大きくなる。
シャオファが宏則の声に反応した。
ルル…と威嚇を続けたままだったが、耳が後ろへピクンと動いた。
「シャオファ。シャオファなのかい?
僕の剣獅子の話を聞いて守ろうとしてくれたの?」
母から離れ、シャオファの近くに宏則は進む。
「シャオファ、小さな約束だったのに。
君は大きな約束にして、僕を守ってくれてたんだね、ありがとう」
シャオファの大きな体を宏則は小さく撫でた。
「シャオファー、もう、いいんだよぉ、お昼寝しよう。みんなでおうちに帰ろ?」
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