小さな約束、大きな約束

35/36
前へ
/360ページ
次へ
「シャオファ、ありがとう」 その言葉をシャオファに意味が理解できたのか、それともできていないかは分からない。 ライオンの目に大粒の涙が溢れた。 宏則に会い、撫でられながら言われてた事に、安心して、泣いているように俺には見えた。 大きな体が、小さく小さく縮んでいく。 「お昼寝から目が覚めたら、美味しいご飯をお母さんに作って貰おう」 シャオファが宏則が抱っこできるような子猫に戻った時、宏則は俺に手を差し出した。 「お兄ちゃん、首輪ありがとう」 「あ…うん」 宏則は、俺からプレートを受け取ると、それは綺麗な首輪に戻った。 宏則は座り込み、シャオファにつけてあげた。 ミャアンと子猫らしい甘えた声で鳴くと、宏則の足に擦り寄る。 小さくなったシャオファを抱き抱えると、宏則は美和子さんの元へ戻った。 全員が俺たちの方を穏やかに見つめている。 「このまま、家の方に歩いていけば、光が見えるから。その光の中へ入っていけば、みんなでお昼寝できる静かな場所へ出るはずよ」 水夜が、いつもより大きな声で家の方角を指指(ゆびさ)した。 その方向には光が見えて来るハズ。
/360ページ

最初のコメントを投稿しよう!

190人が本棚に入れています
本棚に追加