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「シャオファ、ありがとう」
その言葉をシャオファに意味が理解できたのか、それともできていないかは分からない。
ライオンの目に大粒の涙が溢れた。
宏則に会い、撫でられながら言われてた事に、安心して、泣いているように俺には見えた。
大きな体が、小さく小さく縮んでいく。
「お昼寝から目が覚めたら、美味しいご飯をお母さんに作って貰おう」
シャオファが宏則が抱っこできるような子猫に戻った時、宏則は俺に手を差し出した。
「お兄ちゃん、首輪ありがとう」
「あ…うん」
宏則は、俺からプレートを受け取ると、それは綺麗な首輪に戻った。
宏則は座り込み、シャオファにつけてあげた。
ミャアンと子猫らしい甘えた声で鳴くと、宏則の足に擦り寄る。
小さくなったシャオファを抱き抱えると、宏則は美和子さんの元へ戻った。
全員が俺たちの方を穏やかに見つめている。
「このまま、家の方に歩いていけば、光が見えるから。その光の中へ入っていけば、みんなでお昼寝できる静かな場所へ出るはずよ」
水夜が、いつもより大きな声で家の方角を指指した。
その方向には光が見えて来るハズ。
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