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雨は止んでいたけれど、空は曇天のまま、館は薄い霧で包まれていた。 2人寝ていたベッドから起きて、俺たちは食堂でゆったりとお茶をしている。 かなり疲れていたんだけど、宏則たちを見送って、気持ち的には、満足した。 何十年も、お互いを探しあっていた家族。 それが会えたのは本当に嬉しかった。 「熱いお茶、入れ直しましょうか?疲れているから、蜂蜜をたっぷり入れたミントティーなんてどう?小さなパンケーキと」 「水夜も疲れているだろ?そんな用意なんていいよ、どこか食べに行くとか、俺が自分の世界へ帰って何か買いに行くよ」 水夜は珍しく、大きな目を更に大きくしてキラキラと瞳を輝かせた。 「緋朝と、外食をしてみたいわ!じゃあ、あなたの世界でお店に入りましょうよ」 あまり、外に出たがらない水夜が、そんなにはしゃぐなんて、驚いたが、 まぁ、あれだ。 俺たちは付き合っている。 2人で一緒に食べるくらい普通だもんな。 外食する為に外へ出てみた。 しかも、水夜は歳を重ねていても、俺よりも年下の女の子だ。 その辺の女の子と同じようにはしゃぐ事もあるだろう。 そう言う仕草を見れて、俺は普通に嬉しかった。 いつも表情を少ししか変えない美少女が、ふんわりと大きな笑みを蓄えているのは、かわいいから。
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