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俺たちはデザートを沢山買って館に戻った。
あれから、水夜が食べてみたいと言ったものを全て買ったんだ。
全て、と言うのは大袈裟か。
途中で、こんなに食べられないと水夜が言うので
「また今度色々買おう」と約束して帰った。
煎餅専門店のお煎餅、チョコレート屋のチョコアソート、それから、有名なケーキ屋のフルーツロールケーキ。イチゴとクリームのクレープは、食べながら帰った。
「今日の緋朝は、やけにベタベタするから恥ずかしかったわ、本当に今度は許さないわよ」
「俺たち付き合ってんだろ?別にちょっとくらいいいじゃんよ」
水夜は、コーヒーをテーブルに置いてくれるが、いつもより荒っぽい。
「ちょっとじゃなかったわ、他の人の前で、あんな…」
彼女は、顔を赤らめた。
いやいや、下着姿でベッドから起き上がって無表情だった時あったじゃん。
……そう言えば、彼女は笑顔も増えたな。
今も割と感情的だ。
「ちょっとだよ、じゃあ今は他人の前じゃない。こっち来てよ」
白い肌が、余計に赤く染まった。
耳まで、赤い。
俺は水夜に手を差し出して、ニッコリ笑った。
「おいで」
彼女は俺から目をそらしたが、嫌がってはいなさそう。
差し出した手を伸ばし、彼女の腕を優しく掴むと、軽くクイと引っ張った。
水夜は目をそらしてはいたけれど、ゆっくりとこっちへ来る。
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