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「はい。」 俺が自分の膝をポンポンと叩くと、水夜は、横向きに俺の膝の上に座って、首に腕を巻き、キュッと抱きつく。 「水夜、今日は楽しかった?」 俺も頭を彼女の頭に寄せ、長い髪をを撫でながら、聞いてみる。 「すごく楽しかったわ。また行きたい」 彼女は更に俺の頭に、自分の頭をすり寄せる。 「……水夜は俺の世界で生きていくのは無理なの?」 一緒に生きていく道、彼女はどう考えているんだろう… 彼女は、俺に頭を軽くもたれさせたまま、しばらく何も言わなかった。 「水夜?」 「ん…緋朝の世界に、(とど)まることは出来ないわ。私はこの屋敷へ帰らなければいけないの。ごめんなさい。こんなに好きなのに、緋朝が違う世界の人なんて……悲しいわ」 すり…と小さく頭を擦り、回した腕に力を込めた。
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