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「どうやって傷を治すんだよ……」
水夜は両方の手の平を肩の位置で広げ、肩をすくめた。
それがどう言う事なのか分からなくて、俺は彼女を見つめ続ける。
「この屋敷が癒すの。ある部屋に、霊気を貯めてある。そこで眠る。それが治す方法。
でも、食べる程の力はないの。あくまで、病気や傷を治すくらいのもの」
「そうなんだ……」
色々とワケの分からない話だけど、水夜の瞳がウソをついてるようには見えない。
「じゃあ、あの日記の続きは?あの女は何?どうなる?」
「やぁね、それは自分で読んで貰わないと。と、言っても詳しくは私もよく分からないの。食べてしまったから」
「はぁ?嫌だ。あの夢を見るのはもう嫌だ」
俺はソファに勢いよくもたれて、水夜から距離を取る。
だけど、彼女は立ち上がり、ゆっくりと俺の横に座った。
そして、俺の頬を白い指で撫でる。
「緋朝、あなたは完璧ではないけど空間を移動できると言ったでしょ?日記を読んで、私が実行した事をあなたが体験しているのよ。夢じゃないわ、不思議な事を信じられないと言ってたんだから、体験出来て良かったでしょ?」
「いや、嫌だ。別の意味で怖い本だよっ!あの女気味が悪い。俺を見て笑って追いかけて来たんだ。日記には書いてなかったじゃないか」
水夜の俺を撫でる指が止まった。
「本当に?追いかけて来たの?」
「あぁ、追いかけてきた」
彼女は俺を撫でるのをやめ、考え込む。
「……日記と違う事が起きているなんて……驚きだわ」
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