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「あ、あのさ、宏則の件で、ちゃんとみんなでゆっくり幸せに出来てるかなって、思い出してただけなんだ」 「あぁ…そうなんすか。宏則くんの事件は、水夜さんの話を買い取りした時、誰もが可哀想だったのを見たっす。でも、緋朝が悪い訳じゃないし、あまり気にしないようにしてください。 宏則くんはちゃんと光の道を見つけているから、みんなで幸せにしてますよ」 俺が、眉尻を八の字に下げたまま、ニコリと伊蔵に笑いかけると、伊蔵と水夜は一瞬見つめあって、それから2人で俺を見た。 「緋朝、そのままこっちに手を出してください。んで、俺のスマホに手をかざして欲しいっす。前やったように」 伊蔵のスマホの画面に俺は手をかざす。 そうしているだけで、水夜と日記を読み始めた所から、鮮明に記憶が蘇る。 2ヶ月程も前の事。それが昨日の話のようだ…… そんな事を思っている間に、携帯がピロンと軽い音を立てた。 「オッケーっす!調べますね!えーっと、……うん、水夜さんと同じ体験をしてますね。 ただ、緋朝は色んな人の思い出の世界に行ってる分、鮮明に状況が分かる。……うっわ、これ……」 伊蔵は携帯の画面から目を外し、俺を見ると、眉間にシワを寄せた。 「な、何?なんだよ…」 「緋朝、怖かったっしょ?殺される側の目線を体験してる。しかも、今回だけじゃないっすよね」 「あ、あー…まぁ」 「……カウンセラー付けますか?心、病んじゃいますよ、この後もこう言う事があるかもしんないし。万屋、そう言うのもちゃんとサポートしますんで」 水夜も伊蔵もかなり心配そうな顔をして俺を見ている。
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