時間を移動する

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「カウンセラーは必要ないよ、ありがとう。もし、必要なら、その時はお願いするから、心配しなくて大丈夫だ」 水夜と伊蔵は、お互いにまた目を合わせる。 伊蔵は「うーん」と唸ったあと、両手をテーブルの上に組み、その上に自分の顎を乗せた。 「まぁ、そう言うことが減るように、今回水夜さんからの相談受けたんっすけどね…… 緋朝にも時間あるって言ってもらったし、ゆっくり話していきます。 あ!ちなみに、緋朝の宏則くんの件、400万で買い取ります、いかがっすか?」 「よ、んっ!?」 「当たり前っすよ、死ぬかも知んないし、戻って来れなかったかも知んない訳だから、変な話オレ的にはプラスしたいくらいっす」 伊蔵は自分の携帯を指でコツコツと叩く。 「ちなみに私は300万よ、緋朝、すごいわねぇ、毎回よく頑張ってるもの」 400万? 400万て! 「水夜さんと違って、緋朝は自由に空間を移動できない。でも、ヒントになる手がかりを掴んでくる命がけの仕事っす。緋朝と水夜さんは、2人1組で解決できるものだけど、アプリが出してる金額が、水夜さんと多少受け取り金額が違うのはそう言う事だと思うんすよ。これ、水夜さんが霊を食べただけの解決なら、もっと安いハズ」 いや、でも、急に400万円とか、どうすんの。 俺は金額に驚いて、説明されても声が出ない。
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