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「水夜さん、覚えたっすか?」
「えぇ」
伊蔵の言葉に、水夜はすぐに頷いた。
「長い呪文に感じたけど、そんなすぐに覚えられるもんなの!?」
「まぁ、同じ言葉の繰り返しとか似たような言葉が多かったからよ。
んん、そうね、何か試しに念じてみましょうか」
水夜は、目を瞑り、水晶に両手をかざした。
「……」
全員が口を閉じ、水晶を見る。
しばらくすると、中で蠢いていた紫の濃い煙が渦を巻き、消えていく。
そのあと、水晶の中が澄み、何かが見えてきた。
ベッドに腰かけた男……
「……俺?」
俺がこの館で、何か読んでいる。
…日記だ。
「3ヶ月後、緋朝は何してるか、聞いてみたの」
「日記読んでるってことか?」
「そっすね…」
俺たちは、お互いの顔を見つめた。
「3ヶ月後には封印が解けるってことなのかしら。
もう少し前の緋朝の事を聞いてみましょうか」
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