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それから、また1ヶ月。 しばらく、仕事が忙しくなり、出張もあって、水夜の所へはなかなか行けなくなっていた。 ただ、スマホで連絡はつくので、前ほど心配しなくて良くなったけれど。 俺と会うまでのように、あの館の掃除をし、料理やお菓子を作り、たまに緑霊香で霊を食べ、過ごしているようだ。 1つ付け加えれば、水晶を上手く使えるように毎日練習しているらしい。 仕事が少し落ち着き、そろそろ今週末くらい、水夜の所へ遊びに行けるかも、と思った時、丁度水夜からも早いうちに屋敷の方へ来て欲しいという連絡が来た。 『俺も行こうと思っていた』と早速返事を返し、何か美味しいお土産でも持って行こうと、水夜の笑顔を想い浮かべていた。 週末。 出張中の各地のお土産と、会社の近くのパン屋で売っている苺ジャムを持って行った。クラッカーを付けて。 このジャム、普通のジャムとは違い、練乳と生クリームで、甘さとクリーミーな濃厚さを出していて、ルビーのような紅いジャムではなく、桜の花びらを思わす、苺ミルクの色をしたジャムで、店頭に並ぶと、すぐ完売してしまう商品だ。 ……まぁ、これは会社の女子の受け売りだけど。 とにかく、美味いらしい。 いつもの路地をコッソリ通り抜け、屋敷を見上げる。 重い扉を開けようとすると、その前に水夜が開けてくれた。 そして、俺を見て、いつものように薄く微笑むと、「入って」と更に扉を大きく開けた。 その後、彼女の目線が俺から、外に移る。 「……どうしたの?」 水夜の目線を追って、俺も後ろを振り返ると、そこには5歳くらいの小さな女の子がいた。 クリーム色の半袖ワンピースを着た、おかっぱ頭のその子は、俺が通ってきた、路地からすぐ出た屋敷の敷地内の所で、俺たちを見つめていた。
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