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温かい(ゆる)い日差しが当たるエントランスの窓際のテーブル。 そこで俺たちは話を始めた。 食堂まで行かず、エントランスのそこに座ったのは、また女の子が来るかも知れない、と念のためだ。 お土産は、煎餅の詰め合わせ。醤油、塩、ザラメ、七味、黒ゴマ、それと、カレー味。 紙袋から薄いピンクのジャムが入った小瓶と、クラッカーを出す。 「どれを食べようか迷ってしまうわね」 水夜の入れてくれた飲み物は、紫蘇の炭酸ジュース。 水夜が紫蘇を甘く漬けた原液に炭酸水で割っただけの物だけど、アメジストの様な紫の中で炭酸の泡がプクプクと上がって綺麗だ。 俺は、ストローで紫蘇ジュースをかき混ぜると、氷がカランと鳴って涼しく感じた。 「な、早く来て欲しいって話が何かあったんじゃないのか?俺に会いたいだけじゃなかっただろ?」 「いやね、そんな言い方しないで。会いたかったのはホントよ」 彼女も、紫蘇ジュースのストローを回す。 「でも、話もあったけど...」 俺は煎餅の袋に手を伸ばし、自分に醤油味、それから彼女を指差した。 「どれがいい?」 「え、あ、じゃあ、うんと、七味を」 手渡すと、水夜は袋を開け、煎餅を少しかじった。 俺も食べる。 煎餅は、香ばしく、醤油の甘辛い味が食欲をそそった。 もう一口食べる。 「あのね、話っていうのはね・・・」 彼女は言いにくそうに小声で言った。
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