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「!?」
影がガラスに近づき、姿がさっきよりも鮮明になる。
やっぱり、昼間の女の子だ。黒く、目の形が見えた事で、全身に鳥肌が一気にたつ。
「き、君は誰…?」
返事はない。
このまま、布団を被って寝てしまおうか、と思ったけれど、きっと、何かあるのだ、二度も姿を現したんだ。
「名前は?俺は、宮本」
その子は1度ゆっくりと首を傾げたけれど、しばらくすると、「ゆー…」と聞こえた。
「ゆう?ゆうちゃんと言うの?」
小さな女の子らしく、高くて可愛らしい声だ。
水夜なら、もうすでにドアを開けているだろう。
でも。こうして、話している事だけでも、俺にとっては、すごく努力をしている。
勇気を振り絞っているのだ。
ペタリとガラスに小さな手形がついた。
俺は、勢いよく鼻息を吸い込む。
怖い。怖い、怖い!
そして、女の子の片足が、ドアを擦り抜け、部屋の中に入ってきた。
心臓が口から出そうなほど、緊張する。
吐きそうだ。
女の子は、ドアの前に立ち、俺の方を見た。
「ゆ、ゆ、ゆうちゃんて、言うの?」
声が裏返った。
水夜、助けてくれ。
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