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あ、水夜。水夜に連絡しないと。 俺は、まだ力の抜けている体を動かし、携帯を手に取った。 震える手でタップしすぎて、何度も押し間違え、スマホを落とす。 「あぁっ!くっそ!」 自分に怒り、焦りながら、ようやくタップできた水夜の連絡先。 スマホを耳に当て、コールされるのを聴く。 早く。早く、水夜出てくれ。 4回目のコールがなった時、「もしもし?」と いつもの綺麗な声が聞こえた。 「水夜っ、俺だ。緋朝だ!出た!出たんだ!」 「緋朝、落ち着いて、どうしたの?何が出たの?」 ゆっくりと落ち着いた水夜の声を聞き、俺は一度深呼吸をして、もう一度話し出す。 「あの女の子、出たんだよ。俺に、指輪を渡してきた」 「えっ!」 「そっち、行っていい?」 「勿論よ、気をつけて来てね」 俺は指輪を握りしめ、水夜の館に急いだ。 一体、あの子は誰なんだ。 言ってた言葉は全く分からなかったし、何で指輪を渡されたのか分からない。
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