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「緋朝は、甘えん坊さんなのねぇ、いいわよ、日記を寝る前の絵本のように読んであげましょうか?」
「ち!がう!俺は怖いだけで、日記なんて1人で読めるし!」
「冗談よ。そんなに怒らないで。じゃあ、あなたに、この屋敷の寝室を用意するわ。そして、私も今度はついていく、日記の中の空間に。そしたら、怖くないでしょ?」
俺はコクンと頷いた。
……ホントの事をいうと、水夜が一緒に来てくれたとしても、怖いんだけどな……
俺ってこんな怖いのがダメだったとは……
情けない。
「緋朝が、次の日に仕事がお休みの時にしましょうか。その時は夕食も用意するわ。
あ、そうだ。いつでも宿泊できるように、必要な物を部屋に持って来ていいわよ。」
「分かった。明後日、仕事が終わったらまたここへ来る。その次の日は休みだから」
女の子の家に泊まる事になるのに、なんだかちょっとした旅行に行くような感じであんまりドキドキはしない。
別の意味で怖くてドキドキしているけど、水夜が守ってくれるだろうと信じて、俺は今日の所は帰る事にした。
***
「いらっしゃい。お仕事、お疲れ様。」
路地を抜けると、いつものように扉から水夜が顔を覗かせた。
俺は仕事とは別に大きなスポーツバッグに色々と詰めて屋敷にやって来たんだけど……
お仕事お疲れ様、なんていつぶりだろうか、ちょっと嬉しい。
「部屋に案内するわ。そこで着替えてから、1階のダイニングルームで夕食にしましょう。
2階に上がって、左の廊下の手前から4つ目のドアよ。」
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